盗聴器発見調査

オフィスに仕掛けられた盗聴器調査
背景
中小企業を経営する依頼者のKさんは、最近、取引先との商談内容や社内会議での決定事項が外部に漏れていると感じ、不安を抱いていた。特に、競合他社がKさんの会社の新製品に似た商品をタイミングよく発表したり、特定のクライアントとの交渉で競合が先回りするケースが続いていた。
「社内にスパイがいるのではないか」という疑念も浮かんだが、従業員たちは信頼しているため、何らかの外部からの盗聴行為が疑われた。そこで、プロの探偵に依頼し、オフィス内に盗聴器や盗撮機器が仕掛けられていないか調査を依頼した。
調査計画
探偵事務所は以下の方針で調査を進めることを決定した:
1.事前ヒアリングと調査計画の立案
・依頼者から、漏洩が疑われる情報の種類や発生時期を詳しくヒアリング。
・特に情報が外部に流出した可能性が高いエリア(会議室、経営者の執務室)を重点的に調査する方針を立てる。
2.専用機器を用いた盗聴器調査
・周波数の検知機器を使用し、盗聴器が発する微弱な電波を感知。
・赤外線カメラや光学機器を使用し、隠しカメラや盗撮機器の有無を確認。
3.物理的な検査
・家具や備品の内部、電源コンセントや電話機、天井裏など、盗聴器が仕掛けられやすい箇所を徹底的に点検。
4.外部からの不審なアクセス確認
・オフィスの周辺を調査し、不審な車両や人物が定期的に監視行動を行っていないか確認。
調査開始
1日目:周波数の検知調査
まず、周波数検知機器を用いてオフィス内を調査したところ、特定の会議室で微弱な電波が検知された。この電波は一般的なWi-Fiや携帯電話の電波とは異なり、盗聴器特有の周波数帯域である可能性が高かった。この時点で、会議室が最もリスクの高いエリアであると判断した。
2日目:物理的な調査
会議室の隅々を物理的に点検した結果、天井の照明器具の内部から小型の盗聴器が発見された。この盗聴器はバッテリー式ではなく、照明の電源から給電されるタイプであり、長期間稼働するように設計されていた。また、会議室の隅に置かれていた観葉植物の鉢の裏側にもピンホール型の隠しカメラが仕掛けられていた。
続けて社長室も調査したところ、デスクの電話機の内部に盗聴器が埋め込まれていることが判明。これらの機器は外部から簡単に音声や映像を送信できる仕組みになっており、情報漏洩の原因である可能性が高かった。
3日目:外部環境の調査
オフィス周辺を調査した結果、近くの駐車場に停められている車両の中で、長時間動いていないものがあり、その車内から外部アンテナが確認された。さらに、車内を依頼者と共に確認したところ、高性能の盗聴受信機が設置されていた。この車両はレンタカーであり、借り主は偽名を使用していたことが後に判明。
成果と対策
調査の結果、以下の盗聴器や盗撮機器が発見された:
•会議室の照明器具内の盗聴器
•会議室の観葉植物に隠されたピンホールカメラ
•社長室の電話機内部の盗聴器
•周辺に停車していた車両内の盗聴受信機
これらの証拠を基に依頼者は警察に相談し、盗聴器の設置者を特定する捜査が開始された。また、オフィスのセキュリティを強化するために、以下の対策を実施した:
•盗聴器・盗撮機器の撤去後、社内で定期的なスキャン調査を行うよう設定。
•会議室や社長室の出入りを厳しく管理し、防犯カメラを新設。
•重要な会議は電波干渉装置を導入した密閉空間で行うようにした。
依頼者の感想
Kさんは「内部犯行を疑って社員を調査する前に、外部からの侵入の可能性を確認して正解だった」と語った。また、探偵による迅速な調査と確実な証拠収集に感謝し、今後の情報管理の大切さを再認識したという。
探偵の見解
この事例では、盗聴器や盗撮機器が仕掛けられるリスクの高さと、それがどれだけ企業経営に影響を及ぼすかが明らかになった。特に、盗聴器は電源供給型や遠隔操作型など、非常に巧妙な手口で設置されることが多く、専門的な機材とノウハウが必要である。
盗聴器調査は、ただ機器を見つけるだけではなく、依頼者が今後同じ被害を受けないような環境作りをサポートすることも重要な役割だと言える。