監査をすり抜けるために、これほどの工夫が施されていたとは!―巧妙な手口による高額横領の全容
こんにちは。全国対応の【総合探偵事務所GriT‘s】です。
■ 依頼の背景|「毎年の監査で、何も出てこなかった。それ自体がおかしかった」
依頼者は伊丹市内に本社を構える中堅企業の代表取締役(60代男性)。
製造関連のサービス業を手がける従業員50名ほどの会社だ。
問題が浮上したのは、
長年の取引先から、
ある何気ない一言を告げられたことがきっかけだった。
「御社の経理さん、いつも細かいところまで気が回る方ですね。
うちへの請求書、たまに金額が変わりますよね」
代表は、
その言葉を最初は特に深く受け止めなかった。
しかし帰社後、
過去の請求書のデータを確認しようとすると、
数年分の一部のデータが、
意図的に上書き・修正されているとみられる痕跡に気づいた。
「毎年、外部の監査法人による監査を受けていた。
でも、監査のたびに問題なしという報告が続いていた。
今思えば、その『問題なし』自体が不自然だったのかもしれない」
問題が疑われたのは、
経理部門を長年取り仕切ってきた
部長職の男性社員(50代)だった。
- 経理部長として10年以上、
会社の全ての経理処理を一手に担ってきた - 監査法人への対応窓口も、常に自分が担当していた
- 部下に仕事を振ることをあまりせず、
経理業務を個人の裁量で処理する傾向があった
「あの人が経理を担当してから、
業績の割に手元の現金が少ないと感じることが、
何度かあった。
でも、監査で問題が出ないから、気のせいだと思っていた」
当社への調査依頼が届いた。
■ 調査の方針|「帳簿の分析と、日常行動の両面から」
今回の調査では、
- 過去数年分の経理データの詳細な分析
- 取引先への実際の請求額と、社内記録の照合
- 経費申請の内容と実際の業務の照合
- 経理部長の生活実態・収入との乖離の確認
を中心に進めた。
税理士・外部の会計専門家と連携し、
帳簿の徹底的な分析を行った。
■ 横領の手口①|「二重帳簿と請求書の操作」
分析の結果、
最初に判明したのは、
請求書の金額操作だった。
- 取引先への実際の請求額より低い金額を社内の帳簿に記録し、
差額を個人の口座に誘導していた - 請求書は取引先に送る「A版」と、
社内記録用の「B版」の2種類を作成していた - 取引先は正規の金額を支払っているが、
社内には低い金額しか記録されていなかった
■ 横領の手口②|「架空の外注費」
さらに詳しく分析すると、
架空の外注費が継続的に計上されていることが判明した。
- 実在しない外注業者への支払いが、
年間で複数回計上されていた - 業者の名称は実在する会社名を微妙に変えた表記になっており、
一見すると正規の取引に見えた - 支払い先の口座は、経理部長の親族名義のものだった
■ 監査逃れの手口|「監査のタイミングに合わせた数字の調整」
この横領が長年発覚しなかった最大の理由が、
巧妙な「監査逃れ」の手口にあった。
- 監査法人による年次監査の時期・範囲を把握した上で、
監査の対象となるデータは正規に近い形に整えていた - 監査対象外となる期間・金額の取引に、
不正を集中させるという工夫が施されていた - 監査法人への資料提出も自分が担当しているため、
不自然な箇所を事前に整理できる立場にあった
「監査をすり抜けるために、
10年以上かけて洗練されてきた手口だった。
外部の専門家が精査しなければ、
通常のチェックでは発見できない構造になっていた」
■ 生活実態の確認|「収入に見合わない豊かな生活」
経理部長の生活実態を確認すると、
- 部長職の年収水準とは到底合わない、
高級マンションへの引っ越しが3年前に確認されていた - 複数の高級外車を所有していた
- 海外旅行を毎年複数回楽しんでいた
- 子どもたちへの高額な教育投資が確認された
「給与水準からは絶対に出てこない数字が、
生活のあらゆる場面に表れていた」
■ 横領の全容|「10年間で積み重なった総額」
詳細な分析の結果、
- 横領の推定開始時期:10年以上前
- 主な手口:請求書の二重作成・架空の外注費
- 年間の横領推計額:約600万〜800万円
- 10年間の推計総額:6000万円以上
という規模が浮かび上がった。
「一度も監査で引っかからなかったのは、
監査の範囲と手口を熟知した上で、
巧妙に回避し続けていたからだった」
■ 本人への対応|「証拠を積み上げた末の追及」
弁護士・税理士・代表が同席した面談を実施した。
最初、経理部長は全面的に否定した。
「監査でも問題ないと言われてきた。
何の証拠があってそんなことを言うのか」
しかし、
具体的な日付・金額・二重帳簿の内容・
親族名義口座への振り込み記録を
一つひとつ示していくと、
次第に言葉が少なくなり、
最終的に認めた。
「最初は少しだけのつもりだった。
でも、バレなかったから、続けてしまった。
10年以上続けてきた。本当に申し訳ない」
■ 法的対応と再発防止
弁護士と連携し、
- 警察への被害届提出(業務上横領・詐欺)
- 民事での損害賠償請求(推計被害額の全額)
- 資産の仮差押え申請
- 経理部門の複数人体制への即時移行
- 監査法人との契約内容の見直し(対応窓口の変更・監査範囲の拡大)
が進められた。
再発防止策として、
- 経理業務を複数人が確認する体制の構築
- 経理担当者が監査法人との窓口を単独で担当しない仕組みの整備
- 取引先への定期的な請求金額の確認
- 外注費支払い先の年1回の実在確認
が整備された。
■ まとめ
→ 経理業務と監査対応を同一人物が長年担当する体制は、横領の温床になります。
→ 「監査で問題なし」という事実だけでは、不正がないとは言えない場合があります。
→ 取引先への実際の請求額と、社内記録の定期的な照合が重要な防止策になります。
→ 生活水準が収入と合わない社員の存在は、重要な確認ポイントです。まずはご相談ください。
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